てっちん、お誕生日おめでとう〜。
帰ってきたらヴィッキーのチュウをプレゼントするよ♪
■ 10月29日(金) 晴れ ■
 今日はてっちんの誕生日だ。でも、てっちんは一人シアトルにいる。夕方、シアトルで日付が変わる時間に電話でおめでとうを言った。思えば結婚して10年、てっちんの誕生日を一緒にお祝いしないのは初めてだ。私の誕生日の時は、てっちんが出張でいない、というのが何回かあったけどね。
 てっちんは7週間のシアトル滞在を終えて、明後日帰ってくる。私は途中で向こうに行ったけど、ヴィッキーとは久方ぶりの再会だな。私が伊豆に迎えに行った時も、からだ中クネクネさせて大喜びだったヴィッキーだから、明後日はさぞや大変だろう。もし、ご対面がアッサリと終わってしまったら・・・、まぁ、それはそれで仕方なし。
 それはそうと、今日のオサンポの時、歩きながらなんとなーく考えていたことがある。『利己主義』と『個人主義』。うわー、なんかタイソウだな。つまりこういうことである。シアトル滞在の間、私はもっぱら歩きが多かったのだが、ふと道を横断しようと思ったとき、通りかかった車は「すべて」止まってくれた。横断歩道ではないところでもだ。ところが今日、オサンポの時に横断歩道の前で待っていたのに、全然車がとまってくれないではないか!!ドライバーと目が合っているのに止まらない!これはどういうことか。人ひとり渡らせたからと言って、目的地に到着する時間が変わるわけはないはずなのに。
 中国を旅行したとき、無秩序に我先に突き進む車に怯え、列に横入りするオバチャンに腹を立て、「も〜、自分さえよければいいのか!」などと憤ったりしたもんだが、なーんだ日本も同じじゃん。でもまぁ、往々にしてアジア諸国の人々は『利己主義』的な部分があると思う。対してアメリカは『個人主義』。というか、『個人の権利擁護主義』かな。アメリカでは、買い物をして気に入らなかったら返品当たり前だそうだ。使用後でも平気で返品してくるらしい。化粧品とかあらかた使ってから、「肌に合わなかったわ〜」なんていうツワモノもいると聞いた。返品された店も、裁判でもおこされたら大変なので、応じるらしいが。うーん・・・。
 なーんてことをツラツラ考えながら歩いていた。ヴィッキーはそんなことはお構いなしに、シッポふりふり歩いていた。犬にも利己主義な犬とか権利を主張する犬とか、いるのかな。(笑)

広い芝生広場には犬が多い。
こういう場所で練習すると結構イイかも。
■ 10月28日(木) 晴れ ■
 ここんとこ、何年ぶりかに健康熱が復活してきていて、家で毎日1時間くらいエクササイズなどをしている。前回は2年位前だったかな。(笑)健康熱のサイクルがやってくると、何かが憑いたようにフィットネスクラブに通ったりもしていたが、今年の熱はちょっと低いみたいだ。フィットネスに通う時間とお金が勿体無いので、エクササイズのDVDに合わせて、リビングでわっせわっせとやっている。2年くらいの間、あまり緊張していなかった腹筋とか上腕三頭筋とかをプルプルさせるのが気持ちイイ〜。効果が出てくるまで、健康熱が持続するといいんだけど・・・。
 私がリビングにマットを敷いて腹筋運動とかをしていると、必ずヴィッキーもやってきて、一緒になって「ぐむむ〜〜」とストレッチをしている。遊んでいると思っているんだろうか。こっちは真剣にやってるのに、腹筋やってるわき腹を鼻で「ツン」とかされた日にゃ、思わず力も抜けてしまうってもんだ。あお向けになって膝を曲げ、足裏を床につけて、さぁ頑張って30回!という時に、足の「への字」になった隙間に体をねじ込んできてヘソ天になってみたり、本当に理解不能。別に構ってあげるわけではないのに、何が楽しいんだか1時間ずっとそんなことをしている。ま、きっとそのうち飽きるだろうけどね。
 今日は久しぶりに入間川河川敷の公園にヴィッキーを連れて行った。ほぼ1ヶ月ぶり。久々に行ってビックリした。多分台風の影響だと思うけど、川の流れるコースが変わっていたのだ。以前はなかった場所に河原が出現していたり、結構深くて早い流れが出来ていたり。ヴィッキーは公園についた途端、川に入りたがったが、水があまりキレイでなかったので却下。かわりに芝生の広場で遊ぶ。夏から全然トレーニングをしていないし、ちょっと試しにやってみた。シアトルから買ってきたアクアダミーがヴィッキーの最近のお気に入りなので、それを使いながら練習したけどやっぱりイマ3くらいだな。課目は一応全部覚えてるんだけど、位置とかが全然ダメ。はぁぁ、また競技会のシーズンがやってきたし、本腰いれなくちゃイカンなぁ。

ヴィ:「ほらほら〜、枝をゲットしたよ!」
ジェ:「まったく、なんなのよ、このコ・・・」
サドルバッグを背負ったガイド犬もどき。
ついて行ったら道に迷いそう〜。
■ 10月24日(日) 晴れ ■
 6時半に起床。山はまだ靄がかかっているけど、晴れそうな感じだ。今日はSSSを連れて樹海ハイキングの予定。昨日のお鍋のおつゆを取っておいたので、朝はそれにご飯を入れて解き卵でおじやにする。手軽で暖まるし、残飯を出なくて一石三鳥だ。ご飯の後片付けと使わない道具を仕舞って、9時ごろハイキングに出発。
 キャンプ場から程近いコウモリ穴の駐車場に車を停めて準備をする。シアトルで買ってきたサドルバッグをヴィッキーに背負わせ、水とオヤツを入れる。なかなかサマになっている。いっぱしのガイド犬のようだ。私もハイキングシューズに履き替え、いざ出発。まずは樹海の中の遊歩道を歩く。SSSはハイテンションで、落ち葉の降り積もった遊歩道を行ったり来たり爆走していた。
 いったん車道に出て、案内板を見て本日のルートを決める。前にここを歩いた時と同じようなコースで竜宮洞穴まで行き、そこから紅葉台への登りに入り、下山することにする。余裕があれば紅葉台から足を伸ばして三湖台回りで下りてもいいし。ルートが決まり、前へ前へと気持ちが焦るヴィッキーを叱りながらハイキングコースの入り口に到着。そこでリードをはずすと、ウヒョヒョ〜と喜んで走りだす。ジェミニと二人で楽しそうに森の中を探検していた。
 ヴィッキーは小心者なので、リードがはずれると何故だか私の傍を歩いたりする。つながれているときはグングン行こうとするくせに、ノーリードになると案外おとなしく歩くのだ。少し離れた場所まで先に行っても、立ち止まって振り向いて待っている。山道で少し先で待っているヴィッキーは、「私がガイドだよ〜、みんなついてきてね!」と言っているようだった。
 順調に竜宮洞穴に到着し、ちょっと休憩していよいよ紅葉台へのきつい登り道に入る。今回はGeminiママのトレッキング入門ということで(笑)、去年は手前で引き返した山道に挑戦することにしたのだ。まぁ、20分程度の登坂なんだけど。結構急坂だが、足場はしっかりした土の道なので歩きにくくはない。ジェミニとヴィッキーは元気にどんどん登っていく。やっぱり四足は強いな。つづら折りの細い山道をしばらく登ると、他のルートとの合流点に出た。そこから10分程で紅葉台に到着。何本か紅葉しているもみじがあった。西湖が眼下に見晴らせた。そこにしばらくいたら、馬に乗った集団がやってきた。そういうツアーかイベントでもあるんだろうか。突如表れた大きな馬の集団に、ヴィッキーはさかんに吠えていたが、敵うはずがないのだ。
 11時を回っていたので三湖台へは行かずにそのまま下山。下りはあっという間で、ふもとの民宿村に到着。また樹海の中を歩き、車に戻る。トレッキング入門としたら、丁度良いくらいのコースだったかな。オナカも空いたのでお昼ご飯を調達してからキャンプ場に戻った。
 のんびりと撤収をする間、貸しきり状態になったキャンプ場の原っぱでジェミニとヴィッキーはずーっと走り回っていた。ときおりボールを持ってきて、「投げて〜」という顔で見上げる。でもさすがに最後には疲れたんだろう、戻ってくる勢いが無くなってきていた。(笑)
 3時ごろ現地解散。今回はまったく泳ぎにいかなかった。帰り道、ヴィッキーが湖を見て騒いでいたので、一瞬車を停める。でもいつも遊ぶ砂浜も無いほど増水していて、ヴィッキーもどこから入水したら良いのか戸惑っていたので、これ幸いと引き上げる。急遽決まったキャンプだったけど、お天気にも恵まれて楽しい週末だったなぁ。

月も星も見えない暗い夜。
ランタンの灯かりと焚き火が心強い。
■ 10月23日(土) 晴れのち曇り ■
 Geminiママ&ジェミニちゃんと急遽キャンプすることになった。てっちんが帰ってくる前に、もう1度オンナ二人とSSSキャンプを決行。ジェミニは土曜日にトレーニングがあるし、私は片付けなくてはならない仕事があるので、2時くらいに西湖集合、という非常にアバウトな待ち合わせ。
 西湖のいつものキャンプ場に、ジャスト2時に到着。久しぶりに西湖に来たら、ここも台風の影響かエラく増水していた。ヴィッキーは案の定、車の中で湖を見てピーピー言ってたけど、無視無視。キャンプ場のおじさんが、奥に1組犬連れが来てるよ、仲良くやってね〜、と言っていた。行って見るとフラットとワイマラナーを連れたグループだった。ご挨拶すると、なんとVICKI'sのお客様でもあるヴィエナちゃんとモネちゃんだった。偶然だ〜!ふたりともVICKI'sのお洋服を着てくれていて嬉しかった。
 ジェミニ家が着くまでの間、薪を集めることにした。これも台風の影響か、いい感じの太めの枝がいっぱい落ちていて、あっという間に一山収集。そうこうしている間にジェミニ家がやってきた。今回はGeminiママ持参のシェルをドーンと張って、その後ろに小さいテントをふたつ。夜は冷え込むだろうし、シェルがあるのは心強い。設営を終え、ご飯まではまだ少し間があるので、SSS(ジェミニとヴィッキーの別名(笑))を遊ばせつつ、焚き火をスタートする。川越のサツマイモを持ってきたので、アルミホイルでくるんで焚き火の脇に転がしておく。
 夕飯はキノコたっぷりのお鍋。やっぱり寒い時期のキャンプは鍋物に限るね〜。きのこと鶏肉団子のお鍋をハフハフやって、最後にきしめんを入れてシメる。焚き火で作ったヤキイモがいい感じの箸休め。かりん酒のお湯割を飲みながらのんびりやっていたら、向い側のテントの後ろに動物のシルエットが。最初は「あそこも犬連れだった?」って思ったのだが、細身で耳がピーンと立ち、体と同じくらいに長い立派なシッポのシルエットはどう考えてもキツネ。そこのテントの人たちが、「これってキツネだよなぁ。」と言っているのも聞こえた。西湖ってキツネがいるんだ・・・。
 SSSは遊びつかれて眠たそうだったので、とりあえず車の中に入れた。Geminiママとふたりで焚き火の眺めながら取り留めの無い話をしていたら、なんとさっきのキツネがすぐ傍まで来ていた。妙に人慣れしているので、キャンプ客に餌でも貰ったりしているんだろうか。私たちの近くに暫くいたが、何もないと諦めたのか暗闇に消えていった。
 昼間、曇りだったので夜は思ったほど冷え込まなかった。車のヴィッキーをテントに入れて、12時ごろ就寝。夜半、さっきのキツネが忍び寄って来ていた。シッポがテントに擦れる音が聞こえたが、ヴィッキーは熟睡していた。番犬にはならないな・・・。

さすがのヴィッキーも川には突入せず。
それにしても今年は台風が多い。
■ 10月21日(木) 曇りのち晴れ ■
 日本に帰ってきた次の日、火曜日にヴィッキーを迎えに実家へ。実家の裏に車を停めた音でヴィッキーは既に気付いたらしく、私が勝手口の外に立つと、ドアのすりガラス越しにヴィッキーが足踏みしているシルエットが見えた。ドアを少しだけ開けたら、そこから鼻を突き出して身悶えしていた。(笑)3週間ぶりに会うヴィッキーは、私がアメリカに発つ前と全然変わっていなかった。実家のテンテンともすっかり仲良くなったようで、以前はテンテンが私に近寄ると怒っていたくせに、今はまったく気にしないようだ。ちょっとはお姉さんらしくなったのか、自分からあお向けになってテンテンと遊んであげたりもしていた。
 私の仕事もたまっているので、1泊で帰ろうと思っていたのに台風23号のせいで20日は土砂降りの雨。ヴィッキーを預けて帰った日も、21号の豪雨の中、高速を走った。かなり恐怖を感じるくらいの雨だったので、またあんな思いをしながら走るのはイヤだし、もう1泊して台風をやり過ごすことにした。
 朝のニュースで台風は通り過ぎたと言っていたのに、どうもすっきりしないお天気だった。母親に頼まれて買い物に出かけようとしたら、ヴィッキーがものすごい勢いで喜んでいた。別に遊びに行くわけではないんだけど・・・。でも車に乗れるだけで嬉しいんだろうから、一緒に連れて行く。いつもヴィッキーが遊んでいる河原は、豪雨の影響ですっかり水没していた。川の水は茶色で、激しく渦を捲いて流れていた。車の中から川が見えると、ヴィッキーは盛大に鼻笛を鳴らしてアピール。あんな川で泳いだら、あっという間に流されちゃうよ・・・。
 雨も大体あがったので昼過ぎに実家を出た。途中で川沿いの公園に寄ったら、ヴィッキーがよく遊んでいる中洲はすっかりなくなっていて、河川敷の原っぱまであと少し、というところまで増水していた。ぬかるんだ原っぱにヴィッキーを出してあげたら、最初は川に向かってスキップしていったのに、茶色い濁流を見た途端怖気づいたのか、すごすごと引き返してきた。さすがにこれはヤバいと思ったんだろう。
 高速はとても空いていて、3時間たらずで我が家に到着。久々に家に帰ってきたヴィッキーは、玄関からタッタッとリビングに走っていって、ドッグベッドにバフッと落ち着くとグーグー寝てしまった。やっぱり我が家が一番落ち着くのかなぁ。

3週間弱滞在したアパートのキッチンから。
なんだか名残惜しいなぁ・・・。
空港のスターバックスでコーヒーを飲んだ。
てっちんはちょっと寂しそうだった。
■ 10月17日(日)-18日(月) 雨のち晴れ ■
 9月30日から18日間滞在したシアトルを発つ日がやってきた。長いような気がしたけど、本当にあっという間だった。イチローの歴史的瞬間も見たし。毎日バスに乗って、いろんな場所に出かけたなぁ。もう少しいてもいいような気もしてきたけど、日本でヴィッキーが待っているしね。
 飛行機は12時45分発だけど、最近は空港の手続きもセキュリティーの問題で時間がかかるというので、9時半ごろアパートを出ることにした。昨夜深夜1時近くに帰ってきてからパッキングをして、寝たのは3時半ごろだった。来るときも完徹明けだったし、寝不足のほうが飛行機でよく眠れるからいいや。
 冷蔵庫に最後の1本の松茸さんが残っていたので、またパスタを作って朝ごはん。明日からはまた一人でご飯を食べることになるてっちんは、ちょっと悲しげだった。一人異国の地に残されるのは、かなり寂しいだろうなぁ。最後の片づけをして予定通り9時半ごろアパートを出発。てっちんに空港まで送ってもらう。
 いろいろと買い物もしたし、頼まれ物もあったりして荷物がちょっと多くなってしまった。チェックインの時に預けられる荷物は二つまでだったので、残りは手持ちで機内持ち込みにする。まだ時間があるのでスターバックスでお茶。シアトル滞在中、毎日のようにカフェでコーヒーを買っていたが、これが最後だ。日本のスタバは、ショート・トール・グランデだけど、アメリカはトールが一番小さいサイズ。味は全く同じ。カフェ発祥の地のシアトル、球場でもマックでさえも、コーヒーはスタバやシアトルベストのコーヒーなのだ。
 12時までにゲートに行かなくてはいけないので、11時半に中に入る。てっちんとはここでお別れだ。荷物を受け取って、元気でね〜とセキュリティーチェックへ向かう。ああ、後ろ髪を引かれる・・・。てっちん、頑張れよ〜。
 テロを警戒してセキュリティーチェックはかなり厳しく、PCを持っている場合は出さなくてはならないし、人間は上着や靴を脱いで探知機をくぐる。いっぱい荷物があるので、ちょっとワタワタしてしまった。ゲートにつき公衆電話からてっちんに電話。プリペイド携帯は日本に持って帰っても意味が無いので、てっちんに預けてきた。搭乗開始までちょっと待ってから、いよいよ機内へ。ユナイテッド航空のボーイング777は、エコノミーは前のほうが広いということが判明した。(笑)来るときは前のほうで結構ゆとりがあったのだが、帰りは後ろのほうだったのですごく狭かった。足元に置いたバッグも取れないくらいだ。この先、また行く機会があったら、座席は30番より前にしなくては。
 10時間半で成田に到着。月曜日の3時だ。荷物を待っている間、携帯からてっちんにメールしようと探したがどこにもない。持ってきたはずなのに・・・。成田までGeminiママが迎えに来てくれたので、代わりにメールを送ってもらう。と、私の携帯はシアトルのてっちんの仕事カバンに入っていたらしい・・・。なんということだ。
 駐車場の車で待っていたジェミニに熱烈歓迎された〜。久々のワンコの感触、うれしい。高速を我が家まで走ってもらったが、日本の高速道路はやっぱり混んでいる。高いくせに!3週間ぶりに家に帰ってきた。Geminiママと夕食を食べて、そのあと仕事をしようと思ったが眠くて駄目だった。楽しかったシアトル滞在、ダイアリーも何とか毎日の分を書いたぞ。私にしては快挙だ〜。

朝ごはんを食べたフォークスのコーヒーショップ。
地元の人で朝から賑わっていた。
ケープフラタリーの沖の小島には小さな灯台が。
太平洋のずっと先には日本があるはず。
道の脇の森から出てきたオスのエルク。
頭の立派な角が重そうだった。
ホー・レインフォレストのメイプルツリー。
枝から苔が垂れ下がっている。
レインフォレストの木は大きい。
てっちんがコビトみたいだ〜。
■ 10月16日(土) 雨のち曇り ■
 オリンピック半島
 朝、窓から外を見たら雨が降っていた。残念。チェックアウトをして車を走らせようとしたら、モーテルの隣にコーヒーショップがあるのを発見。ここで朝ごはんを済ませることにした。アメリカの食べ物屋は店内禁煙が当たり前だが、この店は喫煙可らしい。でも、ウェイトレスさんが「今日はタバコを吸う人がいなくて、匂いがしないわ〜。」と片づけをしながら歌っていた。てっちんは具沢山のスクランブルエッグにトースト、私はフレンチトーストとグレープフルーツを注文。フレンチトーストは大量のバターの中で溺れそうになっていた・・・。でも味は美味しかった。
 雨の中、ニアベイにむけて車を走らせる。オリンピック半島の北西の角にあたるニアベイの小さな町を抜け、ケープフラタリーを目指す。道はだんだん狭くなり、やがてダートになった。トレイルの入り口の駐車場に車を停め、そこから1.2kmほどを歩いていく。太平洋に突き出したケープフラタリーは、アメリカ本土の最西端だ。てっちんも私も『先端好き』なので、こういう場所には行かずにはいられない。(笑)森の中を抜け、次第に波音が聞こえてきて、やがて断崖絶壁の最西端に到着〜。目の前に広がる太平洋の遥かかなたに日本があるはずだ。岬のむこうには灯台の建っている小島があった。波に削られてできた洞窟がたくさんあって、夏に行った積丹半島に良く似ていた。
 心配していた雨もニアベイの手前で止んでくれたので、濡れずに歩くことができた。次はレイク・オゼッテに向かう。この周辺はあまり道路網が発達していないので、地図で見るとケープフラタリーのすぐ下にあるレイク・オゼッテに行くにも、北側の海沿いをずーっと引き返して分岐点まで走り、そこから改めて南下していかなくてはならない。あまり深く考えずに走り出したのだが、さすがにアメリカは広いのだ。たっぷり1時間以上かかってしまった・・・。そんな思いをしてたどり着いたレイク・オゼッテだったが、国立公園になっている場所には片道10kmほどのトレイルを歩いていかなくてはならなかった。ああ〜、調査不足だった・・・。そこまで歩いていったら、レインフォレストにまわる時間がなくなる。仕方ないので諦めて、湖畔のキャンプ場からちょっと眺めただけにした。せっかく来たのになぁ。運転してくれたてっちん、ごめんよ・・・。
 また延々と走り、昨夜泊まったフォークスを通り過ぎ、いよいよホー・レインフォレストへ向かう。今回の小旅行で一番楽しみにしていた場所だ。周回道路の101号線を離れ、案内板に従って山に向かって走る。この一帯も殆どが国立公園で、入場料がかかる。アメリカの国立公園はそうやって入場料を徴収する場所が多いけど、ちゃんとパークレンジャーもいるし、よく整備されていてゴミも落ちていない。外国人が富士山に登るとあまりの汚さにビックリするらしいが、日本もそうやって有料にしてしまえば良いのにと思う。
 道の両側には針葉樹林が広がり、地面も木の枝も苔に覆われている。木はかなり高いのだが、ずっと上の枝からも毛足の長い苔が垂れ下がっていて不気味だ。右手側、林の向こうにはホー川が見え隠れしている。かなり走ったところで、道路に車がいっぱい停まって人が降りて何かしていた。道路脇を見ると、エルクの群れがいた。エルクというのは大型のシカで、この辺りのレストランに入ると必ずといっていいほど剥製や角が飾ってあるのだが、実物を見ることができて感激した。10数頭のメスや子供を引き連れて、1頭のオスが悠然と草を食んでいた。シカというより馬と言ったほうがいいような大きさだ。肩の高さが私の目線くらい。車道を渡るときも、たくさんの人間が見守る中、全然慌てず悠々としていた。
 ホー・レインフォレストのビジターセンターはエルクがいた場所から2、3分の距離だった。残念ながら16時で閉まった後だったので、情報を見ることはできなかった。ビジターセンターの裏からたくさんのトレイルが伸びている。その中から『Hall of Moss(苔の殿堂)』と名づけられたトレイルを歩くことにした。大体1時間くらいのコースだ。森に入ってすぐ、綺麗な小川に架けられた木の橋を渡る。水は澄みきっていて水中の藻が美しい。この森は針葉樹とメープルをはじめとする広葉樹がバランスよく生えているのだが、すべてが苔にビッシリと覆われている。日本の苔寺のようなビロードっぽい苔ではなく、モップのような毛足の長い苔が木の枝から垂れ下がっている。まるでゴーストのようなシルエットだ。
 トレイルの所々に説明が書かれた案内板がたっていた。この森の針葉樹は、平均でも200フィート、高いのだと300フィート(90m)にもなるらしい。30階建てのビルと同じくらいの高さだ〜。広葉樹も太く大きい。大きさを比較しようとてっちんを入れて写真を撮ったが、とてもてっぺんまでは映らない。日本で似たようなレインフォレストと言えば屋久島が最初に思い浮かぶ。屋久島の原生林を歩いたときも、木々が苔に覆われていた。屋久杉は成長がとても遅く、樹齢1000年を越える木も結構あるのだが、このホー・レインフォレストの木は数百年でこれほど巨大に育ってしまうのだ。なぜなんだろう。生きている木も立ち枯れている木も、根こそぎ倒れている木も、全部苔に包まれている。まるで森全体が苔に飲み込まれてしまったようだ。時間が許せばもっと長いトレイルを歩いてみたかった。
 薄暗くなってくるまでレインフォレストにいたのだが、まだ明日の帰国の準備を全くしていないので、なんとしても今日中にシアトルに戻らなくてはならない。来た道を引き返してフェリーで帰るか、それとも半島の下半分を回ってずっと陸路で帰るか。迷ったけど下回りはかなり距離が長そうなので、上回りにする。フェリー乗り場に着くのにどれくらい時間がかかるんだろう・・・。大体、7時までこんな場所にいてフェリーに乗れるんだろうか・・・。ともかく、頑張って走る。途中で運転を交代する予定だったが、運悪く雨が降ってきた。道は真っ暗、しかもワイパーがお粗末で視界がかなり悪い。私が運転するにはちょっと不安なので、てっちんがひたすらハンドルを握った。
 途中、給油のついでにSUBWAYでラップサンドを買って夕食代わりにする。あとは夜道を150マイル以上ひた走り、半島の東側のキングストンのフェリー乗り場に10時に到着。ところが、フェリーは9時55分発。今まさに岸壁を離れていくところだった・・・。次は11時10分。1時間以上待たなくてはならない。チケット売り場のおばさんが、ベインブリッジまで行けば10時半のがあると言うので、そっちに賭ける。距離は20マイルちょっと、25分で行けるというけど雨が降っていてそんなにスピードは出せない。てっちんが必死に走ったけど、着いたのは10時35分。またしても間に合わなかった・・・。次の便は0時!ああ、キングストンで待っていれば50分も早く乗れたのに。一旦は陸路で帰ろうと走り出したが、きっと大変だろうと思い、フェリー乗り場に引き返して車の中でDVDを見ながら待った。シアトルに着いたのが深夜0時半。総走行距離は570マイル、910kmの長〜い小旅行だった。

トレイルを歩いてハリケーンリッジの頂上へ。
遠くの山の頂に、青白い氷河が見える。
頂上の岩陰から出てきた小さなリス。
動きが早くて写真を撮るのが難しい〜。
流木が横たわる海岸線が続く太平洋岸。
冬場は嵐見物の観光客も来るそうだ。
■ 10月15日(金) 曇りのち雨 ■
 オリンピック半島
 私の帰国が日曜日なので、金・土の一泊二日でオリンピック半島に遊びに行くためにてっちんが休みを取ってくれた。オリンピック半島はシアトルの西にある大きな半島で、中央部と太平洋側が国立公園になっている。樺太と同じくらいの緯度にもかかわらず割と温暖で、太平洋からの湿った風が半島中央の山々にぶつかるために雨が多く、世界的にも珍しい温帯雨林(レインフォレスト)を形成している。(詳細は上のリンクを見てね〜。)
 7時55分発のワシントンステイトフェリーは、車1台と二人で15ドルちょっと。対岸のベインブリッジまで30分の船旅だ。そこからフリーウェイで北上する。フリーウェイといっても片側1車線の州道なのだが、制限速度が60マイル(96km)の場所もあったりして、結構なスピードで走っていくのだ。
 州道を走りついで、I-101に乗る。こちらは国道だ。オリンピック半島には見所はたくさんあるのだが、1泊2日の短い旅なので立ち寄れる場所は限られてしまう。北側のファンデフカ海峡沿いに西進し、ポートエンジェルスという大きな街から山に向かって南下した。ここからハリケーンリッジに向かう。ワシントン州はアメリカ本土で一番氷河が多い州なのだが、オリンピック半島でも中央のオリンポス山をはじめ、多くの山々が頂上に氷河を抱いている。ハリケーンリッジはその氷河を近くから眺められる場所で、車で一気に標高1500m以上まで上っていけるのだ。ポートエンジェルスのビジターセンターに寄って情報を得てから、40分ほど走ってハリケーンリッジの展望台に到着。途中、霧の濃い場所を通ったが、霧ではなく雲だった。ポートエンジェルスでは雲が低く垂れ込めていたが、ハリケーンリッジは綺麗に晴れ渡っていた。
 展望台からは氷河を抱く山頂が眺められた。日本の高山でも白い雪渓は良く見られるけど、氷河は青白いのだ。展望台からさらに奥に入っていくと、車道はやがて行き止まりになり、そこからはトレイルが伸びている。片道1.6マイル、往復で5kmちょっとなので途中まで歩いてみることにした。トレイルは良く整備されていて、すごく見晴らしの良い散歩道という感じ。標高は2000mないのだが、酸素が薄いのか上り坂はかなり息苦しい。キノコ類がいっぱい生えていて、一目でヤバいとわかるオレンジに白い斑点のキノコもあったりした。
 途中まで、と思っていたのに結局頂上まで上ってしまった。(笑)頂上からの360度のパノラマはとても見事だった。下界も晴れていれば海まで望めるらしいが、今日は曇りなので雲海に閉ざされていて見えなかった。岩の陰から小さなリスが出てきて、何かを齧っていた。20分ほど頂上にいて、来た道を引き返す。帰りはずっと下りなのでラクチン。車に戻り、ピクニックエリアの木のベンチに腰掛けて遅いランチにした。昨日の夜、食べきれずにお持ち帰りしたステーキをスライスしたのを、野菜と一緒にパンにはさんでサンドウィッチにして食べたら、ものすごく美味しかった。食べていたら頭上の木に鳥がいっぱい集まってきた。テーブルの隅にパン屑を置いたら、木から降りてきた。きっといつも、こうやってもらっているんだろう。
 今日はさらにレイク・クレセント、そしてアメリカ本土最西端のケープフラタリーに行きたかったのだが、ハリケーンリッジを出たのがすでに3時ごろ。とても周りきれないのでレイク・クレセントは車窓から眺めるだけにした。三日月形の湖で、すぐ際まで紅葉した山々が迫っていて神秘的な雰囲気だった。湖を過ぎ、西に向かううちに雨が降ってきた。時間は既に5時過ぎ。ケープフラタリーは明日行くことにして、今晩泊まるフォークスに向かった。フォークスの街に入る手前で右折して、海岸地帯を見に行く。この辺りから、太平洋に面した手付かずの海岸線が90km近くも続いているらしい。晴れていれば海に沈む夕日が見えるのだが、生憎の雨で海も霧に煙っていた。
 海岸の駐車場に車を止め、巨大な流木が横たわるエリアを抜けると、目の前に荒々しい波が打ち寄せる海岸が現れた。想像以上に波は高く激しい。冬場は嵐に襲われることも多いらしい。直径が私の背丈よりもずっと大きい木が、根こそぎ横倒しになっていたりする。この木たちはどこに生えていたんだろう。裏の山から倒れてきたのか、それともどこかから流れてきたのか。自然の厳しさを目の当たりにするようだった。
 7時過ぎに海岸線を後にして、夕食を食べにフリーウェイ沿いのレストランに入る。『the Smoke House』という店で、スモークサーモンが自慢ということだった。確かに自家製のスモークサーモンはとても美味しかった。満足してフォークスの街に入る。こじんまりしたこの街のモーテルに今夜の宿をとった。1泊59ドルの安い宿だけど、部屋は思いのほか広くて綺麗だった。さて明日はオリンピック半島一番の見所、レインフォレストに行くぞ〜。

シアトルで最初にオープンしたカフェ。
建物は1870年に建てられたそうだ。
パイオニアスクエアの公園脇を走る路面電車。
このストリートカーもバスの一路線なのだ。
■ 10月14日(木) 晴れ ■
 私がシアトルを発つ日がだんだん近づいてきた。明日はてっちんがお休みをとって、1泊2日でオリンピック半島にショートトリップに出かける予定。なのでシアトル市内をブラブラするのも今日が最後だ。11時過ぎにケイコさんと待ち合わせをして、宇和島屋近くのチャイニーズヌードル屋さんでランチした。シコシコした卵麺に水餃子と魚肉ボールが入ったヌードルを頼む。安くてとても美味しかったから、てっちんにも教えてあげよう。
 子供たちをピックアップに行くケイコさんと宇和島屋の前で別れて、そこから歩いてパイオニアスクエア方面へ。パイオニアスクエアは、シアトル発祥の場所。1800年代、シアトルが開けていったときに建てられたビルが、まだ残っている一角だ。レンガ造りのクラシックなビルや倉庫が並んでいて、タイムスリップしたような雰囲気。雑貨やギフトを扱うお店で、ピューターの洒落たメジャースプーンを見つけた。今年は結婚10周年。錫婚式というらしいので、錫(ピューター)で作られた何かを買いたかったのだ。なかなかいいものを見つけられなかったのだが、最後に気に入ったものが買えて嬉しい。
 パイオニアスクエアを抜けてウォーターフロントとの間をつないでいるストリートカーに乗ってみる。いわゆる路面電車だ。クラシックな形のストリートカーは、パイオニアスクエアの街並みによく似合っている。車内の座席も木製のベンチで雰囲気がある。ガタゴトとゆっくり進んでいくストリートカーは、海沿いの道にぶつかると90度向きを変えて海沿いの道に出る。フェリーが発着するピア52、シーフードが有名なレストランの前を通り、シアトル水族館の前で降りて、坂を上ってパイクプレイスマーケットへ。何度か足を運んだこの場所も、今日が最後。前に見つけたワンコ物のお店へ行って、実家へのお土産とフラット天使のオーナメントを買った。
 てっちんが帰ってきた後、明日からのオリンピック半島旅行に備えて買いたいものがあったのでREIに行った。お店は9時までやっているので、いろいろ見ていたら8時を回ってしまった。本当は家で晩ご飯を作るつもりだったのだが、遅くなったので外で食べることにした。今回、あまり外食はしていないので、最後にアメリカらしくお肉を食べに行く。
 シアトルは海沿いの街なので、シーフードレストランは多いけど、ステーキハウスはそれほどあるわけではない。てっちんが前回7月に来た時に、こっちの人に連れて行ってもらったというステーキハウスを探す。大体この辺り、というてっちんの記憶を頼りに探すが、全然見つからない。店の名前もビルの名前もわからず、とても曖昧な情報だけでグルグル探し回ったが、結局見つけられなかった・・・。時間はすでに9時半。でもすでにステーキモードになってしまっていたので、歩き回った場所にあった有名なグリルハウスに入ることにした。シアトルで多分一番高級だと思われるメトロボリタングリルという店だ。プライムリブのステーキは、アメリカのステーキの先入観をひっくり返すほど柔らかくて美味しかった。小さいほうのカットを注文したのだが、それでも14オンス。400グラム近い。当然食べきれずに残ったぶんをお持ち帰りする。(笑)高級と言ってもビールも入れて100ドルちょっと。やっぱりアメリカは牛肉は安いのだ〜。

アメリカの墓地はのどかで美しい。
墓標を読みながらブラブラと歩く。
たまたま見つけたブルースリーのお墓。
燃えよドラゴン、子供の頃流行ったなぁ・・・。
■ 10月13日(水) 晴れ ■
 今日も朝から快晴。どこに行こうかなぁ、と地図を見ていたら、山の手エリアのキャピトルヒルに、ボランティアパークという公園を見つけた。あまり大きくない公園だけど、園内にシアトルアジアンアートミュージアムという美術館がある。さらに公園から歩いて10分程でブロードウェイという通り沿いに広がる繁華街もあるので、この周辺を歩いてみることにした。
 まずはバスでボランティアパークに。紅葉した大きな木が芝生の広場のそこここに生えていて、グリーンと黄色のコントラストがキレイだ。ここでもリスが一生懸命木の実を集めていた。グルッと回って公園の奥に行くと、フェンスの向こうに墓地があった。アメリカの墓地は美しいところが多いので、実は良く入って歩いたりする。今日もブラッと入ってみた。10月のシアトルとしては珍しく暖かい日で、Tシャツ1枚でも汗ばむくらいだった。結構日本人のお墓もあった。緩やかな坂を上っていく。時々車が入ってきて、あるお墓に花を手向けて帰っていくことに気づいた。誰か有名な人のお墓でもあるのかなぁ、と近づいてみると、なんとあのブルースリーのお墓だった。
 小学校の頃、『燃えよドラゴン』が流行ったなぁ。男の子は、手製のヌンチャクを振り回したりして、『ヌンチャク禁止令』なんかが発動されたりもしていたな。ブルースリーはシアトルに住んでいたことがあるんだろうか。墓標に刻まれた文章を読んでみたけど、それらしいことは書いてなかった。隣に息子のお墓もあった。私は特にファンだったということも無かったけど、手を合わせてから立ち去った。
 墓地を出て再び公園に入り、美術館に向かう。シアトルアジアンアートミュージアムには、中国・韓国・日本を中心としたアジアの国々の美術品が展示してある。私は昔から仏教美術にとても興味を持っていて、日本でも良くお寺めぐりなどをしているので、シアトルでこういう美術館を見つけて嬉しかった。展示されている美術品も、非常に質が高いものだった。英語で書かれた説明をじっくり読みながら回っていたら、あっという間に2時間くらいたってしまった。
 美術館を後にして、クラシックな住宅街を抜けブロードウェイへ。キャピトルヒルという由緒がありそうな住宅街のすぐ近くにある通りなので、日本で言ったら銀座的な場所かなぁと思っていたのに、行ってみたら渋谷センター街のようだった・・・。ちょっと怪しげな店やカフェが並び、通りを歩いている人もパンクっぽいオニイチャン・オネエチャンが多い。路上生活者もたくさん歩いているし、ちょっと想像していたのと雰囲気が違った。特に見る場所も無いので、さっさとバスに乗った。こういう場所に興味が無くなったっていうのも、やっぱり歳をとった証拠なのかなぁ・・・。

日本にも進出しているCOSTCO。
まさか、シアトルで来るとは思わなかった。
この前は撮れなかったSHINTA & TAISHI。
ペーター佐藤の描くイラストみたいだ〜。
■ 10月12日(火) 晴れ ■
 先週ショーン君の家に遊びに行ったとき、ケイコさんから「来週、お買い物ツアーに行こう。」とお誘いを受けた。目的地はCOSTCO!そう、日本でいうところのコストコ。こちらでは「カァスコ」と発音するらしい。(笑)知らなかったんだけど、実はCOSTCOもシアトルが発祥なんだそうだ。WEBで調べたから間違いない。COSTCOオリジナルブランドは「Kirkland」っていう名前でしょ。これって、シアトル郊外にある地名なんだよね。いやぁ、最近シアトル発のモノがいっぱい日本に入ってきてるけど、まさかCOSTCOまでそうだとは知らなかった。
 入り口で会員証を見せて入り、巨大なカートを押して店内を歩くシステムはもちろん日本と同じ。高い天井まで目いっぱい組まれた棚に積み上げられた商品は、業務用のようなビッグサイズ。日本でも商品の大きさにビックリしたけど、こっちはその倍くらいの量で売っていた。ダイソンの強力な掃除機が500ドル弱で売っていて、欲しいと思ったけど持って帰れないので諦めた。(笑)結局、小さいものをちょっとだけ買っておしまい。でも、店内を回るだけで十分楽しめた。
 ケイコさんが、今日もご飯を食べていってね、と言ってくれたのでお言葉に甘えることに。まずはタイレストランでランチのテイクアウトして、おうちで食べてから二人の子供のピックアップに出かける。プレスクールに通うTAISHI、次に小学校に通うSHINTAを順番にピックアップ。犬のCHACHAも連れて、近所のペットセンター「PETS MART」に連れて行ってもらう。「PETCO」とはまた違った品揃えで楽しい。ここにもIDタグの自動製造機があった。
 夕方、てっちんがやってきて、しばらくしてからショーン君が帰ってきて、子供たちも入れて6人で夕食。本日のメニューはダンジネスクラブ。COSTCOで買ってきたのだ〜。大き目のカニで、身がぎっしり詰まっていて濃厚な味で美味しい。みんなでホリホリして食べる。やはり無言になってしまうのだな。
 明日も仕事なので、早めに引き上げようと思ったのに、結局10時半になってしまった。とっても楽しかった。今日はアメリカの生活っていうものをいろいろ知れて、有意義だったのだ〜。

白く乾燥した流木がいっぱい。
岬の向こうにマウントレーニアが見えるのだけど・・・。
反対側の突端には、小さなライトハウスがある。
かなり古いけど、ちゃんと働いている。
■ 10月11日(月) 晴れ ■
 昨日いっぱい歩いたので、ちょっと疲れているかなぁ、と思ったけど、あまりにも良いお天気なので出かけることにした。お買い物エリアは大体見て回ったし、暖かくて気持ちが良い天気なので公園でも歩いてみようとディスカバリーパークへ。地図で見るとかなり大きい公園のようだ。アパートの最寄のバスストップから乗り換えなしで行けるし、海にも面しているのが気に入った。
 バスに20分ほど揺られて、公園に到着。と思ったらバスは公園の中に入っていく様子。なので終点の北側の駐車場まで行った。現在地があまり良くわからないので、とりあえず海のほうに行ってみようかなぁと思ったのだが、駐車場の脇から森に入っていくトレイルがあったので、まずはそこから歩くことにした。公園と言っても、広い駐車場と園内を一周するループトレイルが整備されているくらいで、ほとんどが自然の森のような状態。最初に入ってみたトレイルは、下が湿っていて結構ワイルドな感じだった。平日の昼なので人もほとんどいないし、鳥の声なんかを聞きながらのんびりと歩く。
 トレイルの両側に生えているのは野生のブラックベリーだった。しかも、とんでもなくたくさん生えている。採って食べようかなぁと思ったが、いやいや公園内のものを勝手に採っちゃいけないな・・・と我慢した。少し歩いて海が見える高台の広場に出た。何人かの子供を連れた、幼稚園の先生風の女の人がいて、子供たちと一緒にブラックベリー摘みをしていた。なんだ、食べていいんじゃーん。たまたまリュックの中にビニール袋が入っていたので、食べごろのやつをいっぱい摘んだ。帰ってからジャムにしようっと。
 公園を一周するトレイルは3マイル弱。約4.5kmだ。基本的にそのトレイルに沿って歩いたが、海に行くにははずれて坂を下っていかなくてはならなかった。結構急な坂道を歩いて行くと、目の前に海が広がっていた。ワシントン州は法律で犬はビーチを歩かせてはいけないことになっている。違反しているのが見つかると、罰金500ドルだそうだ。砂浜から1段高くなっている、砂を固めた道を歩いていたら、犬を連れてジョギングしているおじさんがいた。うーん、この道はビーチじゃないんだろうか・・・。
 とても天気がよかったので、南の方角にマウントレーニアがくっきりと見えていた。西側にはオリンピック半島の山々が。手前の丘の木は黄色く紅葉していてとてもキレイ。本当に絵になる風景なのに、なんとカメラを忘れてしまった。ということで、写真は2週間ほど前に、てっちんが一人でこの公園に来たときのものです。(笑)まぁ、まったく同じものを見ているからいいよね。ビーチには白い骨のようになった流木がいっぱい漂着していた。対岸から流れてきたんだろうか。岬の突端にあるライトハウス(灯台)は、小さな可愛い家のようだった。
 海沿いを離れて再びループトレイルに戻り、草原のような場所に出たら、黒いウサギが何か食べていた。リスはよく見かけるけどウサギは初めて。結構近づけたのにカメラがなくて残念・・・。それからまた森に入り、グルッとまわってビジターセンターの前についたら6時を過ぎていたので仕事を終えたてっちんに迎えに来てもらった。合計で7、8kmは歩いたかな。こっちにきたらヴィッキーのお散歩はないけど、毎日よく歩いているのだ。

マツタケを探して山を歩くが。
あの先に無ければ諦めようかなぁ・・・。
土に埋もれた、これぞ食べごろの松茸。
白くてマッシュルームみたいだけどね。
帰ってから数えたら23本ありました。
これでも見つけたうちの半分程度。
スノコルミーフォールを見上げて。
崖上のロッジはツインピークスの舞台になったそうだ。
■ 10月10日(日) 曇りのち晴れ ■
 この前ショーンの家に招待されたとき、マツタケの話題が出た。宇和島屋という日系のスーパーにこちら産のマツタケが売っていて、それを買って食べたんだよ、という話をしたら、ケイコさんが「マツタケ狩りができるみたいだよ。」とミニコミ誌を持ってきてくれた。シアトルから2、3時間で行ける場所でも、何箇所か天然のマツタケが採れる場所があるらしい。一番近いところは1時間ちょっとだ。「週末に行ってきたら〜?」とそのミニコミ誌をくれたので、今日行ってみることにした。
 ミニコミ誌に載っていた情報は、I-90というフリーウェイを東に行ってExit62で降りたStampede Pass(スタンピードパス・道路の名前)沿いという非常に大雑把なもの。まぁ、見つかればラッキー、くらいな気持ちで出かけた。アパートからすぐにフリーウェイに乗り、I-5、I-90と乗り換えて快調に走って1時間かからずにExit62に到着。ところが、食料・飲み物を持ってくるのを忘れてしまった。付近は殆どが森なのでお店などない。仕方なくまたフリーウェイに乗り、10マイルほど走ってドライブインを発見して、水やマフィンなどを買った。引き返してStampede Passに入り少し走ると、道が砂利まじりのダートに変わった。どの辺りが良いのかまったくわからず、マツタケなんだから松がある場所を探せばいいや、と思ったがこちらには日本のような松は生えていない。情報によると地面が湿っていて、木漏れ日が射すような場所が良いらしい。車が数台停めてある奥まったスペースがあったので、私たちもそこから入ることに。
 大きなバケツをぶら下げた老夫婦や、子供連れの日系人なども付近にいて、どうやらこの辺りらしいと期待する。昨日買ったばかりのハイキングシューズに履き替え、熊除けの鈴をバッグに付けていざ出発!斜面をゆっくりと登っていく。地面には針葉樹の落ち葉が堆積してフカフカと湿っていて、実にいろんな種類のキノコが生えていた。こちらのマツタケは日本の物とは見た目がちょっと違う。白っぽくて大きいのだが、香りはいわゆる『マツタケの香り』。一度買って食べはしたのだが、「これがマツタケ!」とすぐに見分けられる自信がなく、これは?と思うのがあると裂いて匂いで確かめながら進んでいった。1本でも見つければ確信が持てるのに、なかなかコレというのが見つからない。湿った地面をじっくり見ながら上っていき、小さなトレイルにぶつかり、さらに上に進み・・・を3回ほど繰り返したが見つからない。きっと初心者には見つからないんだな、豊作で30本も採れたというのは名人だからなんだろうね、と9割がた諦める。
 最後に広めのトレイルを越え、少し開けた林に入ってこれを最後にしようと歩き始めたら、片隅に白っぽい大振りのキノコが捨ててあった。あれ?と思って匂いを嗅いでみたら、まちがいなくマツタケの香り!なぜ?こんなところに捨ててあるの?もしかしたら採ったはいいけど熊とかに遭遇して慌てて逃げたとか・・・。とりあえず拾って袋に入れ(笑)、一段高い場所を探してみると。大きい白いキノコが生えている。もしや・・・と匂いを嗅ぐと。見つけた〜!マツタケだ〜!!感激して写真撮影の後、おもむろに収穫。嬉しい〜。周囲を見渡すと結構生えている。10数本まとまって生えている場所も。最初は土から顔を出している大きめのモノを採っていたのだが、そのうち小さいのが土の中に隠れているのを発見。こういうのは傘も閉じていて、まさにマツタケらしい形。なのでふたりで「ここぞ!」という場所を掘って「あった〜!」と狂喜乱舞しながら、あっという間に20本ほども収穫。まだまだあったけど食べきれないので残して帰る。
 ホクホク顔で車に戻ると、日本人の夫婦が通りかかって話しかけてきた。どうやら同じミニコミ誌を見てやってきたものの見つからず、ガセネタか?と思ったらしいが、私たちが採った大量のマツタケをみて「本当に生えてるんや〜。」と驚いていた。その人たちに大雑把な場所は教えてあげたけど、多分見つけられないだろうな。キノコ採りの名人は場所を秘密にするらしいけど、その気持ちが良くわかった。(笑)
 3時前に宝の山を後にして、シアトル方面に走りスノコルミーへ。昔『ツインピークス』という映画(ドラマ?)が流行ったが、その舞台となった街だ。私もてっちんも見たことがないからわからないのだけど、あちこちにゆかりの場所や建物があるらしい。スノコルミーの街を抜け、スノコルミーフォールへ。この滝は落差270フィート(81m)、結構水量があって、滝を見晴らす展望台まで飛沫が上がってくる。滝の下に降りれるトレイルがあるので歩いて行くと、突き当りが展望台になっていた。滝壷までは少し距離があって、何人もの人が展望台を乗り越えて河原に下りていたので、私たちも習って乗り越える。大きな石と流木の足場の悪い河原を歩き、ギリギリまで近寄ってみた。下から見上げる滝は、やはり迫力があった。
 楽しい1日を終えてシアトルに戻り、宇和島屋に寄って採ったのが間違いなくマツタケかどうかを確認。うん、間違いない。アパートで数を数えたら23本あった。まずはシンプルに網焼きにして、ライムを絞ってお醤油で食べた。ああ〜、マツタケだぁ。幸せ〜。二人で贅沢に8本も食べてしまった。明日はマツタケご飯。マツタケのパスタもイケそうだな。ふふふ、実に収穫の多い日曜だったのだ。

水族館のあるピア62/63の木の桟橋。
午後から晴れて、青空が気持ちいい。
シアトル水族館は海に張り出して建てられている。
周りをサーモンラダーが取り囲む。
■ 10月9日(土) 雨のち曇り ■
 私がこっちに来る前、てっちんが今働いている会社の社長さんが「奥さんが来たら一緒に別荘に遊びに来るか?」と聞いてくれたらしい。で、すっかりそのつもりになっていたのだが、どうも忘れてしまったのか、週末になってもその話題が出てこない。ま、お天気もあまり良くないし、今週末は二人でどこかに行こうということになった。でも今日は朝から雨。REIで秋のセールが始まったので、我が家の古くなったハイキングシューズを新調しようとお店へ行った。今まで使っていたのはAzoloというブランドのオールレザータイプの物だったのだが、同じブランドのやはりオールレザー&ゴアテックスのものが安くなっていたのだ。最初からそれ狙いで行って履いてみる。
 前にも書いたがここのREIは、実際に近い状況で試すことが出来る。ハイキングシューズを試すために、砂利を固めた作った坂道や木の橋、丸太の階段などを組み合わせたトレイルがあって、そこを歩いてみることが出来る。ハイキングシューズは平坦な道では大丈夫でも、ハードなコンディションで足に当たることもあるので、こういう設備があるのはとても嬉しい。それに買い物客はみんなじっくりとあれこれ試すので、私たちも心置きなくいろんな靴を履いてみた。結局、最初から目をつけていたAzoloのレザーブーツに決定。
 今日は土曜日なので家族連れが多く、しかもワンコもたくさんいた。巨大なグレートデーンを2頭連れていた人も・・・。この前、ヴィッキー用に買ったサドルバッグを試着しているワンコもいて可愛かった。犬モノは見ていると楽しい。あっという間に2時間以上たってしまい、おなかがすいたのでREIの中にあるお店で食事。それから、ウォーターフロントにある水族館に行ってみた。
 てっちんは何回かシアトルに来ているのに、水族館に入ったことはなかったそうだ。まぁ、一人で水族館を見てもあまり楽しくないかも。一人11ドル50セント払って館内へ入る。最初のエリアはクラゲとか蛸とかヒトデとかが展示してあって、子供の学習エリアといった雰囲気。そこから奥に行くとようやく水槽があって水族館らしい感じになってきた。水槽を覗いていたらインド人らしき団体がやってきて、インドのおばさんに割り込まれた・・・。どこの国でもおばさんは周りを気にしないんだな。(笑)
 この水族館は海に面して建てられていて、鮭の稚魚を海に放したりもしている。放流された鮭は何年後か産卵の時期を迎えると、生まれ故郷の水族館に戻ってくるのだ。建物の周囲を取り囲むように『サーモンラダー』という階段状の水路が作ってあって、鮭たちはこの水路を遡上してくるらしい。つまりこの水路を故郷の川だと思っているんだろう。遡上する鮭を見られるような造りにもなっているのだが、残念ながらその時期ではなかったので見れなかった。それにしてもどうやってこの場所に戻ってこれるんだろう。不思議だ。
 水族館は外から見るよりずっと広くて、ラッコやアザラシなどがいるエリアもあったりして、一通り見て歩いたらすっかり足が痛くなった。遠出はしなかったけど、とても楽しい一日でした。

シアトルのシンボル、スペースニードル。
上の円盤状の部分が展望台。
量り売りシステムのスーパーを発見。
シリアルだけで、こんなに種類が!
■ 10月8日(金) 雨 ■
 朝から結構本格的な降りの雨。今日はキャピトルヒルという山の手地区のブロードウェイという賑やかなあたりに行って見ようかな、と思っていたが、雨の中ウィンドウショッピングも大変なのでやめた。ジムに行ったり家の中のことをして昼過ぎまでアパートにいた。金曜日なのでてっちんのオフィスに行こうと思い、でもまだちょっと早いので、シアトルのシンボル的なタワー『スペースニードル』まで歩いて行った。スペースニードルの展望台にのぼると、晴れた日には遠くマウントレーニアまで見える。でも確か17、8ドルしたはず。前に一回のぼったことがあるので、1階のスーベニアショップだけ見ておしまい。
 雨の中、バスに乗っててっちんのオフィスまで。シアトルの人はかなりの雨でも傘をささない。だからバスの中は濡れた人が多くて窓が全部曇ってしまい、どこを走っているのかよくわからない。あるバスストップで大勢人が降りたので、窓際の座席に移動して外を見たら、そこが降りるべき場所だった!けど既にバスは走り出したあと。慌てて次で降りて戻った。オフィスは金曜日ということで、みんな帰りが早い。5時過ぎには大体の人が帰ってしまった。私たちも5時半頃に出たけど一番最後だった。(笑)
 てっちんがオフィスの近くに見つけたというスーパーマーケットに連れて行ってもらった。アメリカのスーパーはとにかく売っているものすべてが大型サイズで、短期滞在の場合、買えるものが限られてしまうのが困りモノなのだが、ここのスーパーのシステムはちょっと変わっていた。いろんな物が量り売りで買えるのだ。肉・野菜・魚介類・卵という生鮮食料品はもちろんのこと、シリアルやパスタ類、ドライフルーツ、お菓子、パンやベーグル、小麦粉や砂糖などの調味料、スパイスにいたるまで殆どの食品を自分の好きなだけ買える。しかもセルフサービスなので店員さんに気兼ねすることもなく、自分で重さを量りながら袋に入れて商品ごとに決められている番号を書いていくとレジでちゃんと値段が出てくるのだ。とても便利!たくさん種類があるシリアルの中から好みのものを2日分とか、パスタ二人分という買い方ができるから、バス代をかけてここまできてもお得だ。大体バス代も安いしね。いいところを見つけて嬉しかった。
 夜はサラさんお勧めのシーフードレストランへ行った。オフィスから程近い桟橋にあった。金曜の夜なので、家族連れで賑わっていた。ダンジネスクラブという、この辺りで捕れるカニのほぐし身で作ったコロッケ風のもの(ダンジネスクラブ・ケーキという料理)や、カラマリのクリスピーフライ、野菜のパスタなどを注文する。料理はどれも美味しかった。おなかいっぱい食べて大満足でアパートへ。夜、DVDに録画して持ってきた韓ドラを見てしまった。アメリカでもやっぱり韓ドラなのだ〜。(笑)

毎日利用してすっかり慣れたバス。
利用者が多い路線は、2両連結だったりする。
ショーン君のうちの末娘、CHACHA。
あまりに小さくて、まるでオモチャみたい。
■ 10月7日(木) 曇りときどき晴れ ■
 てっちんは7年ほど前にも、今回と同じ会社と一緒に仕事をするために1ヶ月くらいシアトルに滞在している。で、そのとき知り合ったアメリカ人のお友達ショーン君に、家にディナーを食べにおいでと誘われた。彼の奥さんは日本人で、小学2年生と年長さんの男の子がふたりいる。今も毎年クリスマスカードや年賀状をやり取りしているのだが、会うのは久しぶりだ。てっちんは仕事が終わってから直接向かうことにして、私は昼間に彼らの家の近くのショッピングモールまでバスで行って、奥さんにピックアップしてもらうことになった。
 アパートから目的のモールまでは、フリーウェイを使えば15分程度だが、バスだと住宅地の中を抜けて一般道で行くので45分くらいかかった。それでも運賃は1ドル25セント。安いのだ。Northgate Mall(ノースゲートモール)は、普通の郊外にあるショッピングモールで中くらいの規模かな。ここにもエディバウアーが入っていた。昨日見つけた服がここにもあったので、結局買うことにした。日本のプロデュースということが引っ掛かっていたのだが、実は新しいデザインのモノは全て日本デザインらしい。デザインセンターが日本に移ったんだろう。なんだか変な気がするが、まぁ良いか。それからカバン屋でVictrinox(スイスアーミーナイフで有名なブランド)製のリュックを買った。バーゲンで半額だったのだ。
 3時過ぎにケイコさん(ショーンの奥さん)と待ち合わせ。子供たちを学校に迎えに行った帰りということで、車の後部座席に7歳のSHINTAと5歳のTAISHIが座っていた。このふたり、見た目はまったくの白人なのに、ケイコさんが関西人なので、バリバリの関西弁で話すのだ。クリクリの金髪のタイシに「何やっとんねん?」とか聞かれると、思わず噴出してしまう。二人で会話していると漫才のようだ。すごく可愛い白人顔のコドモふたりで漫才やったら、絶対日本でウケルよ〜、と言ったら、ケイコさんは「でもシンタはものすごい内弁慶だから、あかんねん。」と言っていた。
 おうちに着いたら最近飼い始めたという犬がいた。こちらでは珍しい超小型犬だ。1/2ポメラニアン・1/4チワワ・1/4ボストンテリアのミックスでCHACHAという名前。まだ13週間のパピーだった。チャチャはお客さんが大好きらしくて、会った途端に熱烈歓迎された。小さな体で足にアタックしてきたり、指をかじりたがったり。小さなワンコの乳歯は尖っていて痛い・・・。体重は今2kg弱だそうだ。小さすぎて踏み潰してしまいそうだった。
 6時過ぎにショーンが帰ってきて、二人の子供とどこかに遊びに行った。子供たちはショーンとは英語で話す。でケイコさんとは関西弁。全員での会話は不思議なチャンポン状態で笑える。てっちんがようやく仕事を終えてやってきて、それから6人で夕食をいただいた。食後に私が買ってきたチョコレートを食べて、子供たちは9時に就寝。パジャマに着替えた二人が、ゲストの私たちにも「おやすみなさい〜」と言いながらハグしてくれて、なんだか嬉しかった。その後、色々話していたらあっという間に11時近くに。とても楽しくて、可愛いふたりの写真を撮るのを忘れてしまった・・・。ホント、モデルをやれるくらい可愛いのになぁ。

道の向こう側、フェンスで囲われた場所がDog Park。
夕方にはたくさんのワンコが来て遊んでいる。
街中には、犬のウンチはほとんど落ちていない。
と思ったらこんなウンチ入れが設置されていた。
■ 10月6日(水) 曇りときどき晴れ ■
 連日あちこち出かけているので、さすがにちょっと疲れてきた。(笑)今日はダウンタウンの一番にぎやかな辺りにちょっと行くだけにしておく。アパートから4thアベニューを南に向かって10分ほど歩くと、ウェストレイクセンター、パシフィックプレイス、ボンメイシーズ、ノードストロームなどというショッピングモールやデパートが立ち並ぶ一角に出る。この界隈をブラブラとウィンドーショッピング。日本でもすっかりおなじみになったエディバウアーはシアトルが発祥。我が家の近所のアウトレットモールにも出店しているけど、こっちのほうがやはり品揃えが豊富なのでじっくり見る。ちょうど今は『Fall Sale(秋のバーゲン)』中で、結構安くなっている。気に入ったデザインのものがいくつかあったのだが、裏のタグを覗いてみたら『香港製』とか『インド製』とか『モーリシャス製』と日本語で書いてある。むむ?と思ってよくよく確認すると、なんとエディバウアージャパンプロデュースなのだ。わざわざこっちで日本デザインのものを買うのもなぁ、と思ってやめておく。
 さすがにアメリカのアパレル系のお店のサイズ展開はすごい。かなり小柄な人用から、「こんなのどんな人が着るの?」って思うくらいデカいのまで実に幅広く揃えてある。それでもエディバウアーやGAPなどのブランド系はせいぜいXXXL(笑)くらいまでだけど、OLD NAVYというアメリカのイトーヨーカードーのようなお店に入ったときは笑いそうになってしまった。私がすっぽりと片足に入ってしまいそうな巨大サイズのキュートなローライズジーンズとか。(ううーん、履いているところを見てみたいような、見たくないような・・・)Tシャツなんかも風呂敷か?と思うくらいのやつもある。
 結局、ほとんど買い物はしなかった。まぁ調子に乗って買っていたら帰りが困るしね。本当はパイクプレイスマーケットに行って、朝食用の買い物をしたかったけど、疲れたので近くのマーケットで済ませる。帰り道、ドッグパークの前を通ったらたくさんのワンコが楽しそうに遊んでいた。こんなダウンタウンの片隅に、誰もが無料で遊べるドッグパークがあっていいな。ワンコたちは数頭ずつのグループになって、くんずほぐれつのガウガウ遊びをしていたり、ボール遊びをしていたり、追いかけっこをしていたり。全体の半分以上はミックスブリードのようだった。こっちはシェルターからアダプトする(里親になる)人が多いそうだ。日本にはそういう公的な機関ってあまりないよなぁ・・・と思ったけど、逆に考えるとアメリカはそれだけシェルターに保護される動物も多いってことなんだよね。街角にドッグパークがあったり、お店に犬連れで入れる場所が多かったり、何となく日本に比べて良い面だけを見がちだけど、見えない深刻な部分もきっと多いんだろうなぁ。

メインの通り、ユニバーシティアベニュー。
学生相手の店が多いので、お値段も抑え目。
ワシントン大学のキャンパスはクラシックな雰囲気。
真っ赤な蔦が絡まっていたりして、とても素敵だった。
■ 10月5日(火) 曇りのち雨 ■
 今週は郊外の街をいろいろ回ってみることにした。今日はダウンタウンから北に向かい、ユニオンベイに面して広がるワシントン大学を中心としたユニバーシティ・ディストリクトへ。ダウンタウンからバスに乗り、15分くらいで学生であふれるユニバーシティアベニューに到着。バスに乗るのもだいぶ慣れてきたな。ゆるやかな坂の通り沿いに、食べ物屋、カフェ、ショップが軒を連ねていてとても賑やかだ。特に目的も無く、お店を覗きながらブラブラと歩く。
 てっちんは今のアパートに移る前は、このディストリクトにあるホテルに滞在していた。でもホテルの狭い部屋に7週間もいるのは気が詰まるので、短期貸しのアパートを見つけて引っ越したのだ。ホテルには大学関係者と見られる日本人も結構泊まっていたらしい。確かに街を歩くと東洋人がよく目に付く。でも不思議と日本語は聞こえてこなかった。韓国人は多かった。黙っていたら日本人か韓国人か見分けはつかないのに、携帯で韓国語で話しながら歩いている人が多い!やっぱり韓国人と携帯は切り離せない関係なのかな。
 2時間ほどかけて一通りグルッと回ったので、大学の構内に入ってみた。こちらの大学はまったくオープンで自由に出入りができるのだ。紅葉した並木の美しい舗道が続いている。犬を連れた人や手をつないだ老夫婦が歩いていたりする。1ブロック外はお店が並ぶ賑やかな通りなのに、構内はとても静かだった。適当なところで道をそれて校舎らしき建物のある方へ入っていった。歴史がありそうな古い石造りの重厚な建物は、なんとなくヨーロッパ風。広い芝生のエリアが広がり、校舎に沿って大きな木が枝を伸ばしている。時折、木の幹をつたってリスが降りてきて、芝生の上に積もった落ち葉をカサカサさせて横切っていく。全てが絵のように美しかった。こんな大学に通えたらいいなぁ、あと20歳若ければなぁ・・・などと妄想してりして。
 雨が降ってきたので大学を後にしたとき、てっちんから電話があった。仕事が終わったというのでここで待ち合わせして夕食をとることにした。てっちんのオフィスのサラさんお勧めのチベタンレストランに入った。ネパール風のターリ(少しずついろんな物がひとつのお皿に乗っている)と、タイ風の海老炒めを頼んだ。お店の入り口に『NOT TOO SPICY』と書いてあったとおり、ほとんど辛くはなく妙に懐かしい味だった。海老炒めはタイ風といっているのに全然スパイシーじゃない。どちらかというとケチャップ炒めって感じ。(笑)デザートのミルク粥がほんのり甘くて美味しかった。しかし、今日も1日よく歩いたなぁ。

フリーモントの運河沿いの道から。
つがいのカモがのんびりと浮いていました。
思いがけなく発見したフラットの置物。
親子みたいだけど、大きいのはオスなんだよね。
■ 10月4日(月) 曇りのち晴れ ■
 今日からてっちんはまた会社。1週間、何して過ごそうかなぁ。午前中は曇りで霧も出ていたので、お昼前くらいから行動開始。バスの時間とルートを調べて、ダウンタウンの少し北側にあるフリーモントという街に行ってみた。前にも書いたけど、こっちのバスはアナウンスというものがない。いつも乗っている人にはアナウンスなど必要ないのだろうけど、慣れない人間には不親切だ。なので事前にルートや降りるべき場所を調べておいて、いざ乗ったら目を皿のようにして道路に付けられた標識をチェックし、大体このあたりだろうという所で合図して降りるのだ。まぁ日本と違ってすべての道路に名前が付いているし、交差点には両方向の道の標識が出ているので、それさえ読み取れれば何とかなるんだけどね。
 フリーモントはレイクワシントンと海をつなぐ運河のような水路沿いに広がっている街。オシャレなカフェやお店があって人気のエリアらしい。確かにカフェはいっぱいあった。でもお店はそれほど多くないような気がする。運河沿いを歩いていたら、ワンコをつれている人が結構いた。こっちでも黒ラブは人気みたいだ。黒いスウェットを着た金髪のキレイな女の人が、黒ラブを従えてジョギングしていた。ああ〜、カッチョイイ。カフェやお店も基本的にどこも犬OKのようで、パン屋さんの中にも大きなワンコが2頭いた。
 1時間ちょっと歩き回って、バスに乗ってダウンタウンに引き返し、次はパイクプレイスマーケットに。食材を買う前に、たくさん軒を連ねている雑貨の店やアンティークショップなどを覗いてみる。なんだか迷路の様に小さなお店が並んでいて、そこで思いがけずワンコ物の店を発見。ステッカーやTシャツ、ぬいぐるみ、オーナメントなどがいろいろおいてあった。そこでフラットの置物を見つけた。結構重さがあるしっかりとした作りで、迷わず購入〜。それとは別に、小さめのフラットもあったのでこっちは2匹買った。小さいのは最初1個しかなくて、お店のお姉さんに同じのもう一つ頂戴と言ったら、店の奥から出してきてくれたけど黒ラブだった。(笑)毛の長さと尻尾が微妙に違うのだ。で、説明したら「今まで気づかなかったかも・・・。」と適当なことを言っていた。アパートに帰って大小並べたら親子みたいで可愛い。こういうのって日本じゃあまり見かけないから、なんだか嬉しいなぁ。

最終戦はお子様感謝デイでした。
回の途中で抽選会があったりして楽しかったです。
イチローのいつものポーズ。
このあと、261本目のヒットを放ちました。
■ 10月3日(日) 曇りのち晴れ ■
 マリナーズの最終戦が1時5分から始まるので、今日は早めに球場へ行って試合前にお買い物をすることに。開始2時間ほど前に着いて車を停め、まずはマリナーズストアへ。すでに結構ファンや観光客がいた。やっぱり日本語があちこちで聞こえる。イチロー物は大人気で、Tシャツや人形なんかが飛ぶように売れていた。私たちもそれぞれの実家へのお土産として人形を買ったりした。マリナーズストアの2階には、ケースに陳列されてサイン入りのボールやジャージ(ユニフォーム)が売られている。サインボールは一番安い選手(笑)が50ドルくらい。ジャージはその倍くらいの値段。で、やっぱりもっとも高額なのがイチローと、今期限りで引退する古株のエドガー・マルチネス。値段を見て、「こんなのどういう人が買うんだろうね〜。」とてっちんに言ったら、何やら思案している様子。「せっかくイチローの記録をこの目で見たんだし、記念に買ってもいいのかも・・・。」とのたまうではないか。
 えええ、本当に買うんですか!?でも、言われてみれば買ってもいいような気がしてきた。絶対に買えないような値段ではないし、てっちんのお小遣いを○ヶ月半分にすれば・・・とか、今回の出張で日当がだいぶ出るし・・・とか、そういえば結婚10周年の記念に何も買ってないし・・・とか、たくさん言い訳を作って結局購入いたしました。(笑)ああ、我が家の家宝が出来たよ。いつの日かイチローがMLBの殿堂入りしたら、このサインボールと記録を更新した日のチケットの価値があがるかも、なんてチョロっと思ったりした。
 肝心の試合のほうは、今日は「お子様感謝デイ」でいろんなイベントもあって面白かった。座った席は一昨日のほうがずっとよかったけど、今日も300mm望遠を駆使していっぱい写真も撮った。イチローが打席に入るたび大歓声が起きたけど、どちらかというと今日が最後の試合となるマルチネスに対する歓声のほうが大きかった。それでもやっぱりイチローがヒットを打つと大盛り上がり。イチローは2本打って、記録を262本に伸ばした。この記録、いつか破られる日がくるんだろうか。イチローが抜き去ったシスラーの記録が作られたのが84年前。今度もそれくらいかかるのかな。そうなると私はもう生きていないなぁ。
 こっちの人はサバサバしているというか、8回裏の攻撃でイチローとマルチネスの打席が終わったら、試合はまだ続いているのにどんどん帰り始めてしまう。その時は3対0で負けていたのだけど、もしかしたら9回裏に逆転して、もう1回イチローに回ってくる可能性だってあるのに。どうせだったら最後まで見ないと勿体無いじゃん、と思うのは貧乏人根性なんでしょうか。ま、逆転はなくてそのまま負けたんだけどさ。

大き目の赤いハートには携帯と自宅のTEL。
小さいゴールドのには携帯のTELを入れました。
QUICK TAGはこんな感じで作られます。
正しく彫られてるか、思わずじっくり見てしまう〜。
■ 10月2日(土) 晴れ ■
 今日はてっちんがお休みなので、ドライブがてらお買い物に行くことにした。シアトルは西海岸の一番北に位置するワシントン州の一都市で、西側のピュージェット・サウンド(入り江のような湾)と東側のレイクワシントンに挟まれた南北に細長い形をしている。とにかく坂の多い街で、少し歩くととんでもない勾配の坂道に遭遇したりする。今滞在しているアパートはダウンタウンのはずれにあって、いわゆる目抜き通りにも何とか徒歩圏内。ダウンタウンを取り囲むように小高い丘の住宅地が広がり、こういう場所が『山の手エリア』だ。レイクワシントンの東岸はイーストサイドと呼ばれていて閑静な住宅街。かのビルゲイツの自宅もこのエリアにある。
 イーストサイドの中でも人気の街がベルビューで、ここには『ベルビュースクウェア』という大きなショッピングモールがあるので、今日はそこに行ってみようと昼過ぎにアパートを出た。てっちんが借りているレンタカーにはナビなど付いてないし、手元にあるのはレンタカー屋でもらったお粗末な地図だけだけど、なんとかなるだろうと車を走らせる。レイクワシントンを周回する道沿いには大きな家がいっぱい建っていて、こんなところに住めたらいいなぁ、ヴィッキーも喜ぶだろうなぁと妄想する。
 ベルビューに行くには湖を渡らなくてはならないのだが、橋は南北にひとつずつしかない。そしてその橋を渡るためにはフリーウェイに乗らなくてはならないのだが、なかなかフリーウェイの入り口にたどり着かないのだ。お粗末な地図を一生懸命見ても、どこが入り口かまったく記載がない。あっちこっちウロウロして、ようやく入り口を発見するまで30分くらい費やしてしまった。
 なんとかフリーウェイに乗って湖を渡る。レイクワシントンにかかる大きな橋は浮橋だ。岸に近い部分は下を船が通れるようにはるか上空に架かっているが、真ん中あたりは橋自体が湖に浮いている。と言っても車で走っている分にはまったく気づかないけど。フリーウェイを走り、一回降りる場所を間違えてまたもやウロウロし、ようやく目指すベルビューの街に到着。でもベルビュースクウェアの場所がわからない。街の中心あたりでトイレ休憩をして、しかたないので諦めて別の目的地に向かった。
 次に行ったのがアメリカでチェーン展開しているペットショップのPETCO。アメリカのペットグッズはどんなんだろう。お店に入るとたくさんのワンコが飼い主に連れられて歩き回っていた。大人しいコもいれば他のワンコに吠えまくってるコもいて、日本とほとんどかわらない。ここでのお目当ては『QUICK TAG』というネームタグだ。ワンコのネームタグの自動製作機と言えばいいのかな。プリクラのように画面をタッチして何種類かある形の中から好きなものを選び、入れる文字を指定すると機械が自動的に彫ってくれるのだ。ヴィッキー用に赤いハートのと、小さい金色のハートのを作った。あと実家のテンテンにも。全部で4個作ったら、店員さんに「何匹犬を飼ってるんだ!?」と言われてしまった・・・。
 それはそうとやっぱり粗末な地図では用を成さないので、ちゃんとした地図を買ってみると、なんとベルビュースクウェアはさっきトイレ休憩した場所の斜め向かいではないか!!あれ〜?おかしいなぁ。全然気が付かなかったよ・・・。悔しいので引き返して寄って見た。デパートがふたつと高級ブランド物のお店、それに洋服や雑貨や日用品などを扱うたくさんのお店が入った巨大なショッピングモールだった。なぜ気が付かなかったかなぁ。思うに日本に比べて、こちらはお店の看板が少ないのだ。バスもアナウンスなんてないしさ。どうも不親切だ!と思うのは、過保護すぎるくらいの日本式にどっぷり漬かっているせいなのかな。

258本の記録達成で花火が上がった。
まるで球場が炎上したみたいだ。
観衆の祝福に応えるイチロー。
いつもはクールな彼も感極まった感じ。
■ 10月1日(金) 晴れ ■
 飛行機の中でしっかり眠れたせいか、時差ぼけはまったく出なかった。今日は朝からよいお天気。てっちんを送り出したあと、アパートのトレーニングジムに汗を流しにいった。てっちんは短期で家具付きアパートとして借りているのだが、ここは日本で言う賃貸マンション風で、1階に住人が自由に使えるジムとプールがあるのだ。てっちんは平日は仕事でジムにはいけないから、代わりに私がしっかりと享受しようっと。
 アウトドアショップのREIの本店がアパートの窓から見える。片道1kmほどの距離なので、散歩と地理把握をかねて歩いていってみた。ここは売り物のほとんどを、実際と同じような状況で試すことができるのだ。建物の外にはマウンテンバイクで走り回るダートコースがあるし、山登りのザックや靴を試すためのハイキングコースもある。日本にはこういうお店は無いなぁ。お店もかなり広くて、一周じっくり見ていると1、2時間はあっという間にたってしまう。ここでヴィッキー用のサドルバッグを購入。次の山登りからは、ヴィッキーに自分の水は運んでもらうのだ。
 4時過ぎにバスに乗っててっちんの会社に顔を出す。会社の人々に挨拶したら、いきなりビールを1本くれた。うーん、アメリカンスタイルだ。今日は金曜日だからいいのかな(笑)。レセプショニストのサラさんが、犬をオフィスに連れて来ていた。名前はレディバード、ちょっと小柄な5歳のゴードンセターだ。とてもおとなしくて良いコなんだけど、写真撮ろうとすると逃げてしまう。レディバードはオフィスの中をあちこち歩き回って、適当な場所で寝そべっていた。こんなのが普通に許されるのも、アメリカだからかな。
 5時過ぎに会社を後にして、いよいよマリナーズの試合が行われるSEFECO FIELDに向かう。てっちんのシアトル出張に便乗してマリナーズを見に行こう!と思ったら9月後半はずっとロードゲームで、最後の最後にシアトルに戻ってくる日程だったので、私が遊びに行くのも必然的にこの時期になったのだ。でもチケットを予約したときは、まさか新記録達成なるか!というドンピシャなタイミングだとは予想していなかったけれど・・・。
 今期はマリナーズはめちゃくちゃ弱いので、ホームゲームでもあまり観客が入っていなかったようなのに、イチローの記録がかかったこの3連戦は、急に完売状態になったらしい。金曜の夜なので球場の周辺は車と人でごった返していて、警官が大勢出て捌いていた。予約していたチケットを売り場に取りに行き、いよいよ球場に入る。今夜は『ファン感謝デイ』なので、入り口でポスターが貰えた。売店で夕ご飯のサーモンサンドとクラムチャウダーを買って席に行った。席は110ブロック23列の3番と4番。予約する時、イチローに近いライト側1階がいいと思って決めたのだが、行ってみたらなんと最前列だった。ライト側のホームランとファールの境目の黄色いポール(何という名前なのかな?)のすぐ脇だったから、きっとTVで見たらわかっただろうなぁ。ともかくそんな席だったので、誰にも邪魔されることなく写真もバッチリ撮れるはず。なんてラッキーなんだろうか。
 7時5分の開幕時間で9割ほど席が埋まっていた。相手はテキサスレンジャース。1回表のレンジャースの長い攻撃が終わることには、ほぼ満席の状態。その大観衆が立ち上がって打席に入るイチローに歓声をおくっていた。こんな大歓声の中、打てたら本当にすごい事だよなぁ、と思っていたら打ってしまった。実にアッサリと257本の記録に並んでしまったのだ。球場は割れんばかりの大歓声!花火まで上がった。それから
3回の第2打席。まさか連続ヒットはないだろうと思っていたのに、またまた打った!!もう、感激で鳥肌が立ってしまった。まさに歴史が塗り替えられる瞬間を目撃できたなんて・・・。てっちんのシアトル出張がなければこんなチャンスはやってこなかったのだから、てっちんの会社に感謝しなくっちゃ。あ、もちろんひとり異国(笑)で仕事しているてっちんにもね。
 イチローはその後もう1本ヒットを放ち、記録を259本に伸ばした。試合も8-3でマリナーズの勝利。最高の夜だった。大声で応援したので、のどがちょっと痛い・・・。さて、あさっての最終戦のチケットも取ってあるし、あとはどれくらい記録を伸ばしてくれるかに期待だ〜。