めかり公園から見るライトアップされた関門橋。
九州と本州の海峡は川幅くらいしかなかった。
■ 5月5日(水) 曇り時々雨 ■
 深夜、関門海峡を渡って一路我が家へ向けて車を走らせる。往きは岡山で一泊したけど、帰りは何としても5日中に帰りつかなくてはならないので、空いている夜のうちになるべく距離を稼ぎたかったのだが、昨日も6時前に起きているので走り出してすぐ、私は寝てしまった・・・。てっちんも広島まで頑張ったけど急激に睡魔が襲ってきたらしく、小さなPAで仮眠休憩を取ることにした。満月が明るく、停めた車の中も月明かりが眩しいほどだった。
 3時半頃起きて、まだ寝ぼけ眼の私に代わって、てっちんが再び運転。少しずつ明けていく空の低いところに月が出ていたのだが、てっちんが急に「おかしいなぁ」と言う。後ろのほうに見える月が三日月になっているのだ。確か、関門橋の上に出ていた月は満月だった。仮眠休憩をしたとき、ちょっと欠けてるかなぁと不思議に思ったのだけど、今は完全な三日月。もしかしたら月食?とビデオに撮ろうと思ったのに、ちょうど山間に差し掛かってしまって撮れなかった。
 てっちん2、私が1の割合で運転を交代しながら東進する。倉敷で7時前に朝ご飯を食べ、神戸・大阪もすんなり通過し、往きに大渋滞だった名古屋・小牧も順調に越えて、昼前には浜名湖までたどり着いてしまった。この後もまったく渋滞に遭遇しないで3時過ぎに東名の東京ICに到着。どうやら上りの渋滞のピークは昨日だったみたいだ。
 結局、仮眠休憩も入れて17時間で我が家まで帰り着いた。7日間の総走行距離は3200kmちょっと。おお、大陸並だ〜。ヴィッキーはこれだけの距離を移動しながら、大抵は後ろのフロアで大人しくしている。その点はヴィッキーの誉められるところだな。
 夜、久々にテレビを見ながらボーっとしていたら、やっぱり月食だったということが判明。次の月食は3年後らしい。偶然だったけど少しずつ欠けていく月を確認できてラッキーだった。今回の旅も何事も無く、3人元気に帰って来れてよかった。でもさすがに九州は遠かったなぁ。

ヴィッキーのパパのアル君、すごく立派〜。
こっそり背後からオトウチャンの匂いをクンクン。
玄海灘に面する白浜海岸で遊ぶ。
一見、ゴミがたくさん捨てられてるようなんだけど・・・。
■ 5月4日(火) 雨のち曇り ■
 楽しかったGWも残すところ今日明日だけ。明日は1200kmの道のりを帰る予定なので、遊べるのはあと1日。本日は、福岡のブリーダーFさん宅を訪ね、その後、別のブリーダーさんのところにいるヴィッキーのパパに会いに行く予定。
 朝、雨の音で目が覚めた。あーあ、雨の中の撤収かぁ。朝ご飯を食べ、ヴィッキーに付き合って少し水遊びをして、小降りになったのを見計らって撤収。ここから福岡の八女まで大体4時間くらいかかるので、9時ごろには出発する。信号の無い山の中の道を大分方面に向かい、大分から高速に乗って福岡へと走る。あと少しで到着というときFさんから電話が入り、急用ができて出かけなくてはならないので途中で落ち合いましょうという話になった。久留米のICでFさんご夫妻と会い、ヴィッキーのママのお写真をいただく。ヴィッキーは生後80日くらいまでFさん宅で暮らしていたそうだ。その頃の記憶があるかどうかわからないけれど、最初遠慮がちにしていたヴィッキーもFさんに抱きしめられると胸に顔をうずめてジィ〜っとしていた。きっと、懐かしい匂いがしたんだろうな。
 ご自宅を訪問するのはまたの機会にして、そのままパパのいる町へと向かう。待ち合わせの場所に現れたヴィッキーのパパは、それはそれは立派で大きなフラットさんだった。6歳なのにまだまだヤンチャ坊主という雰囲気で、大きな体でピョンピョン3次元的な動きをしていた。ヴィッキーを見ると「オンナノコだ〜」と思ったか、ちょっかいを出そうとしてはヴィッキーに喝を入れられていた。普段、乗っかりッ気たっぷりの♂に対して容赦しないヴィッキーなのだが、アル君には何か感じるものがあったのか、「キャン!」と牽制しながらも隙を見てにじり寄ったり、匂いを嗅いだり、お顔をペロペロしたりしていた。それにしてもアル君はデカイ。体重もヴィッキーの倍くらいだ。ヴィッキーは多分ママ似なんだなぁ。
 車で10分程で玄海灘に出た。少し走って津屋崎・白浜で海岸に下りる。名前の通り白砂の海岸が数キロ続いていて、夏はきっと海水浴客でにぎわうのだろうけど、この時期は誰もいなかった。海岸にはたくさんのゴミが散乱しているように見えるけど、これらは捨てられたものではなく流れ着いたものなのだ。しかも大半が韓国・台湾・中国からのもの。洗剤のボトルや酒瓶、漁業用のブイなど、拾ってよく見るとハングルや中国語が書かれている。実はこの浜でハングルの書かれた何かを拾うのが密かなお目当てだったのだ〜。海岸でヴィッキーを遊ばせながら往復して、大小様々のブイを何個かゲット。韓国からのものが4個、中国は浙江省からのものが2個、あとは台湾製かな。ちょっと珍しいオミヤゲが出来た。
 九州最後の晩ご飯は、門司の街中で食べることにした。門司港付近はレトロの街並みが有名らしく、アメリカの小さな港町の雰囲気だった。ちょうど花火のフェスティバルが開催されていて、その見物をしてから小料理屋で軽く食事。さて、夜中に九州を後にして、明日の何時ごろに我が家にたどりつくかなぁ。

信じられないくらいに澄んだ川。
ヴィッキーの犬掻きもよく観察できた。
最後の夜もシメはやっぱり焚き火。
てっちんは焼酎飲んでご機嫌、かな。
■ 5月3日(月) 曇り時々雨 ■
 河原にテントを残したまま、30kmほど離れた北川まで行くことにした。北川は宮崎の延岡で海に注ぐ、まぁ中くらいの大きさの川。いったん延岡に出てから、今度は豊日本線に沿って北上する。途中、何度か川の状態をチェックしたのだが、やっぱりここも水量が足りない。北川から支流の小川沿いを進むうちに、四国でよく見かけた沈下橋を発見。橋の袂に車を停めて川岸に出ると、信じられないくらい綺麗な水が流れていた。
 橋脚によって流れが複雑に入り組んでいて、結構急流になっている箇所もあったのだが、ヴィッキーは大喜びで飛び込んでいった。案の定、一番早い流れにつかまってしまい、あれよあれよと言う間に流されていった。流れていってもすぐにトロ場になるので心配はしていなかったけれど、流される当のヴィッキーは結構焦っているようだった。沈下橋の上から流れを横切る方向にヴィッキーを誘導し、無事浅場に上陸。それでも全然堪えていないようで、すぐにまた水に入って泳いでいた。
 これだけ綺麗な川だったら、カヌーはできなくても水遊びするだけでいいなぁと考え、さらに上流に行った木立の向こうに、ここでキャンプしてください!といわんばかりの上等な河原があった。プライベートビーチならぬプライベート河原か。綺麗な玉砂利のフラットな河原に、澄み切った川。ここでしばらくヴィッキーを遊ばせていたのだが、あまりのロケーションの良さに、テントをここに移動することにした。
 いったん30kmの道を戻ってテントを撤収し、帰りがけに買い物とお風呂を済ませ、途中の道の駅で宮崎の地ビールなどを買い込み、プライベート河原に到着したら先客がいた。(笑)広い河原なので、お互い端と端にテントを張れば全く気にならないし、きっと夜になれば真っ暗闇なので、他に一組いたほうが安心できるかも。手早くテントを設営する間、やっぱりヴィッキーはひとりで泳いでいた。なんだか旅行中ずっと湿りがちなヴィッキーなのだった。
 晩ご飯は宮崎産ゴーヤと豚バラと地鶏の有精卵でゴーヤチャンプルーを作り、シイラをバターで焼き、南部鉄のごはん鍋でグリンピースご飯を炊いて食べた。道の駅で買った『ひでじビール』、ヴァイツェン・エール・黒の3種類を飲んだが、どれも濃い味で美味しかった。
 夜、片付けをしている間に車に乗せておいたヴィッキーをこっそり覗いたら、後部フロアの定位置でヘソ天で寝ていた。(笑)やっぱりヴィッキーにとって、我が家の車は動くハウスのようだ。

ヴィッキーの従姉妹のアルクちゃんと。
うーん、ヴィッキー、なんだかマッチョ系?
五ヶ瀬川の河原でキャンプ。
何にも無い河原なので、誰もいません〜。
■ 5月2日(日) 曇り時々雨 ■
 本日は阿蘇を出発して、九州の背骨を越えてカヌーをやる五ヶ瀬川流域に行く予定。まずは九州のグランドキャニオン(ありがちなネーミングだぁ。)と言われている蘇陽峡に立ち寄る。九州でカヌーをやるにはどの川がいいかなぁ、と家を出る直前まで決めかねていたのだが、とあるHPで熊本と宮崎を流れる五ヶ瀬川が良いらしいと知り、そっち方面に行くことにしたのだ。蘇陽峡はその五ヶ瀬川の上流域に広がる渓谷。ヴィッキーを水遊びさせようかなぁと思っていたのだが、さすがグランドキャニオンというだけあってとんでもなく深く厳しい谷で、川岸に下りていくのは至難の業のようだった。
 ところで、福岡には親戚犬探しサイトで見つかったヴィッキーのひとつ年下の従姉妹、アルクちゃんがいる。ヴィッキーのママとアルクちゃんのパパが同胎のきょうだいなのだ。飼い主であるテンちゃんとけんじさんも今日から熊本〜鹿児島を旅行するとのことで、途中で一緒に遊びましょうという話になった。五ヶ瀬川沿いに少し下り、高千穂の先の河原でアルクちゃんとご対面。小柄で顔つきもソックリだった。でもアルクちゃんが華奢なのに較べて、ヴィッキーはどうもマメタンクなんだなぁ。肩幅と胸郭が広いので、痩せているのにマッチョに見えてしまうのだ。なまじお顔がそっくりなだけに、違いがおかしかった。
 いとこ同士で仲良く水遊び・・・と思ったのだが、実際は離れてそれぞれが一人遊びしていた。どうやら性格まで似ているらしく、自分のボール、ペットボトルは渡したくない!という気持ちが強くて、どっちかが近寄るとガン飛ばしあっているようだった。(笑)でもなんとなくヴィッキーのほうが押されてる雰囲気だったなぁ。帰り際、なんとかツーショットを撮ったのだが、ヴィッキーの大事なペットボトルにアルクちゃんが興味を示したら、例のイヤ〜なヒクヒク顔で威嚇していた・・・。ま、人間はそれを見て大笑いしていたんだけどね。
 アルクちゃん達とサヨナラした後、小雨が降り始めた中を五ヶ瀬川の状態を調べながら下流方面へ向かう。梅雨前のこの時期は大抵水量が少ないのだが、今年は特に水が無く、川底の岩や石が露出している場所が多かった。これでは数百メートル進むのに、何度もカヌーを降りて歩かなくてはならない・・・。結局、この川を下るのは無理だと判断して、明日別の川に言ってみることにした。
 本来、五ヶ瀬川を下った時のゴール地点に想定していた河原に、今日のテントを設営する。大小入り混じった丸い石の河原で、結構フラットなので寝心地はまずまずだろう。川と国道と高千穂鉄道が平行している区間だし、キャンプするにはもってこいの河原もたくさんあってツーリングするには最適のロケーションだっただけに、川の水が少なくて残念。小雨が降ったり止んだりで肌寒いのに、おバカなヴィッキーはひとり川で水遊びしていた。遠くのほうから「遊んで〜」と念力を送っているようだったけど、こっちは忙しいのだ。夜は冷えるのでキムチチゲを作った。5月なのにまた鍋物だ〜。

阿蘇山の麓はなだらかな草原が続く。
今も活動する中岳の裏側。大きい〜。
中岳の噴火口にて。水蒸気がモクモク〜。
二酸化硫黄は有毒なので気をつけましょう。(笑)
中岳の火口跡を歩いて見物。
SF映画のロケに使えそうな荒涼とした風景。
■ 5月1日(土) 曇り ■
 朝気持ちよく起きて、ご飯前にヴィッキーと付近を散策。早朝のレク広場は誰もいないので、またもやボール遊びしてしまった。この連休中、九州地方は徐々に天気が崩れていくようなので、今日は天草でシーカヤックをしようと朝ご飯のあと出発した。ところが思っていた以上に距離がありそうだし、せっかく阿蘇に来ていながら見物しないのも勿体無いということで、急遽阿蘇山に行くことになった。せっかくのおニューのシーカヤック、使わないのはてっちんに申し分けないかなぁと思ったのだけど、てっちんがシーカヤックはどこでもできるけど、阿蘇はここにいるときしか行けないと言ってくれたので、ちょっとホッとした。
 阿蘇山というのはひとつの山の名前ではなく、周囲120kmにもおよぶ外輪山と、その中にある5つの山々の総称であるらしい。外輪山のスケールから想像するに、噴火前はさぞかし巨大な山だったんだろう。広大な裾野を持つ富士山の3合目辺りから上が吹っ飛んで、そのくぼみの中に新しく5つの山が出来上がったような雰囲気かなぁ。今も火山活動を続けているのは、中岳ひとつだけ。外輪山や5つの山々には未だ高木は生えてなくて、緑の絨毯の起伏がうねうねと続いている。ちょっと日本とは思えないような雄大な風景。
 麓の草原を散策していたら、山菜採りの地元のオジチャンオバチャンがいっぱいいた。夜のおつまみ用に少し採っていこうかと思ったけどやめておいた。周回道路を回って裏側に行くと、火口から煙を吹き上げる中岳や、有名な草千里などのいわゆる観光地に出た。うちは二人ともあまり観光地化された場所は好きではないのだが、それでもやっぱり阿蘇はすばらしいなぁと素直に感動した。でも、草千里を歩こうと思ったら係りのオッチャンに、「ここは牧場だから犬はダメ!」と言われてムッとした。ふんだ、人間の方がよっぽどゴミを散らかしたりするじゃないか〜!頭にきたので入ってやるもんか!と思ったのだが、実際は中を歩いているワンコも結構いたので結局入ってしまった。(笑)入り口の看板にも、「牧場なのでペットの追放しは禁止」と書いてあるだけだったし。きっとあのオッチャンが個人的に犬が嫌いなんだな。
 その後、いよいよ中岳の火口を見に行く。麓からロープウェイが出ているのだが、有料道路を使って車でも登っていけるのだ。火口に着くと「有毒ガスが噴出しているので気をつけて下さい」というアナウンスが流れていた。気をつけろって言われてもなぁ。深い火口の底はグツグツと煮えたぎっていて、大量の水蒸気が湧きあがっていた。
 中岳には火口が7つあって、活動してるのはひとつだけ。古い火口の跡は『砂千里』という名前がついていた。阿蘇は『千里』が好きらしい。砂千里は名前の通り一面の砂山で、所々に噴火で飛び散った溶岩が転がっている。なんとなく他の惑星に降り立ったような雰囲気だ。スターウォーズとかに出てきそうだな。
 阿蘇を一回りして、そのあとくじゅう高原に向かった。ところが朝花粉症の薬を久々に飲んだてっちんの眠気がピークに達してしまい、観光どころではない状態だったのでくじゅう高原は掠めただけで終了。小国温泉にある『くぬぎ湯』でお風呂に入った。このお風呂はコイン式家族風呂なのだ。露天風呂と内湯があったけど、迷わず露天風呂にした。外には温泉の熱を利用した『蒸し地獄』なる強力な蒸し器が設置されていて、お風呂に入っている間に、それでおいもなどを蒸すことができる。ちょうど地元のサツマイモを買ってあったので、ふかし芋を作ったら信じられないくらい甘くてホクホクに出来上がった。
 夜、テントに戻り地元産黒毛和牛のステーキなど作って食した。そういや、阿蘇には野生のアスパラガスが生えるらしく、それも買って食べたが、ちょっとほろ苦くて野の味がした。